みきほ氏ブログ

川崎在住、トリリンガル。日本にくる外国人観光客事情と対応術、インドネシア・マレーシアまわりのことを中心に書いています

大和総研の出したASEAN主要国のお金の使い道レポを受けて、めし編

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 大和総研の出したシンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムの市民のお金の使い道をまとめたASEAN主要国の違いについてのレポート(リンク)がおもしろかったので、インドネシアとマレーシア、シンガポールを中心に自分の見聞もふくめてちょっといろいろ書いてみる。旅行者以外の立場として長期滞在経験があるのはマレーシアとインドネシア。このあいだマレーシアに里帰りしたので、2002年、2011年との比較もしてみる。今回は「めし」編。

  • <庶民のメシが多彩、安い、うまい>

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(ペナン料理のラクサミー)

 マレーシアに留学した時、17歳のわたしはめしの安さにおどろいた。しかも、うまい。いわゆるハイナン・チキンライスが当時は90円程度。KFCのセット180円。あまりの安さにおどろいて、中日新聞に寄稿したくらいだ。(教室・インザワールド、中高生ウィークリー、2002年11月くらい)
 また、食の豊かさも注目に値する。マレーシア、インドネシアにはどちらも華僑が降りてきているが、マレーシアの場合は、インド文化、マレー文化、中国文化、それぞれ独自に組み合わさったママ文化、ババ文化が庶民に受け入れられており、そのまま豊かな文化ーー食文化を受けている。マレーシアの「多文化共生」は、めしにも現れているのだ。ありがたい。
 シンガポールもそうであるが、あまりに多彩なため、ある程度大きい住宅地に行けば「フードコート」やレストラン街がある。日本のジャスコに入っているようなものが、屋外で行われている感じだ。
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(写真はシンガポールのフードコート。マレーシアのは手持ちがなかった)
 かんたんにいえば庶民のメシが多彩、安い、うまいのだ。もともと多彩な食生活を送っているためか、後述するインドネシアのような「エンターテイメント性」は薄いように私は感じる。

 一方インドネシアは、市井のメシがマレーシアほど多彩ではない。インドネシアの地方料理もあるが、中華とのミックスはない。中華料理そのものも、インドネシアの住居分離など歴史的な背景ゆえ、中国料理は決まった地域(コタ地区)か高級ホテル、モールでしか食べられない。宗教的な要因も大きいが、別の言い方をすれば、市井に根付いていない。
 安くていろんなものから選ぶことができるフードーコートのようなものはほとんど見ない。モールの中くらいだ。
 逆に、モールの中は本当にいろんな食べ物を用意している。レストランの数も多いが、ジャカルタのモールの食分野のリーダー的存在で、年に一回の食とファッションの祭典ジャカルタ・ファッション・フード・フェスティバルの開催地『クラパガディン・モール』は●●フードフェスというのを月に1−2度、毎月やる。9月は中旬に、アセアン・クイナリー・フェスティバルという、インドネシアが今年アセアンの議長国であることにちなんだイベントが開催された。
 所得が上がった事もあり、最近のジャカルタの人は「いろんなものを食べたい」と思うようになった、らしい。「おいしいものを食べにいこうよ!」と高級モールに同僚達と出かけて、いろんなものを頼んで、分け合う。
 Order a lot , and we share.マレーシアではこういう食べ方はあまり見ない。1 person 1 order, sometime we shareのスタイルが多いように感じる。
 そうやって友達と出かけてとにかくおいしいものをシェアする、という行動は食べること以上に、若者の「エンターテイメント」のひとつであり、「ライフスタイル」になっている、とおもう。

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(マレーシアのKFCのランチプロモ。1RM30円と計算しても200円以下です。ちなみに値段は8年前よりちょっと上がった気がする。むかしはこれ4.8とかで食えた。)
日本発のハニート。PR価格では25000ルピア、250円だが、実際払う額は330円くらい…あと、チップを渡すのがスマートとされる
(日本発のハニート。PR価格では25000ルピア、250円だが、実際払う額は330円くらい…あと、チップを渡すのがスマートとされる)
 モールのレストランは、まあ高い。モールのレベルにもよるが、高級モールになると恐ろしいことに「サービスチャージ」と『贅沢税』がとられる。店によってぜんぜんちがうので、メニューでは800円くらいでもお会計では1000円じゃ足りないなんてことがわりとよくある。
 インドネシアエンゲル係数が40%と非常に高く、それゆえ生活水準が低いと思われがちだが、市民がグルメし好で食費が高いということも覚えておくといいかもしれない。「2万円くらい外食に使うかも」という34歳女性(PR会社社員、月収700万ルピア=7万円)、「食費は毎月1万円で外食は二回くらい、一度の外食に使うお金は1000円くらい。2−3カ月に一度行くSUSHI-TEIは1200円くらいかけちゃう」という27歳女性(バッグデザイナー補佐・広報、月収350万ルピア=3.5万円)、「月収四万円で半分貯金、二万円のうち1万円以上が食費(アルコール、たばこ含む)」という29歳男性もいるので、都市型のブラックベリーを使いこなす生活水準が低くなさそうな女性も食費に金をかけているみたいですよ!!

  • <自炊する場合….食材のねだんは?>

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インドネシアの大阪的存在・スラバヤにある伝統市場の風景)
 インドネシアとマレーシアの食材の購入方法は、案外共通している。安い順に説明すると、一つは「パサール」といわれる、英語では「Traditional Market」「Wet Market」といわれるもの、二つ目つはグロサリー中心の小規模なスーパー、もう一つはカルフールジャスコのような何でも揃う「ハイパーマート」だ。 
 残念ながら両国食文化が似ているところがありながらも、インドネシアではトウガラシが必需品、マレーシアのマレー系の場合はオニオンとガーリック(在トゥンさん調べ)など、重きを置く食材が違うため、一概に比較をするのが難しいが、マレーシアのほうが政府が補助金などを出して市場価格調整を行う項目が多く、国民の負担も多少は軽くなっている。マレーシア政府は小麦粉、砂糖を行っているが、インドネシアはコメだけだ。
 また、管理方法の違いなのか、食肉用鶏の値段もマレーシアの方が安く、ボルネオ島カリマンタン島)のインドネシアとマレーシアの国境付近では鶏の密輸が行われているほどだ。
(ちなみにインドネシアは、世界で2番目に海岸面積が大きい国だが、農民の技術不足や設備不足で塩がとれず、昨年はエルニーニョ現象で雨が多かったため、国内消費量の一割程度しか自国でまかなえなかったという。インドネシアの塩は主にインドから輸入をしている。バリの塩のねだんは、ある意味適正価格なのかも?)
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  • <個人的に>

 マレーシアのがめしがうまい、ていうか日本人の舌にあう。安くてうまい!ってすてきよね!
 ただ、インドネシアジャカルタ)はイタリアンがうまい。気がする。ピザがうまい。わたしがジャカルタでうまいと思うメシは中華料理(コタの和名’俺の餃子’と湯葉)とパスタ(ペペネロ)です。。

*1:ちなみに自動車生産国であるマレーシアの政府価格調整はなんとガソリンにまでおよんでおり、価格はマレーシア全国どこへいってもだいたい同じ。アセアン諸国で最も安いため、ジョホール水道を通ってシンガポールから、カリマンタンの国境を通ってインドネシアから、またタイからも車がやってきて補給して国にもどろうとする人もいるらしい。