<データ>食のインバウンド市場、ハラルよりベジタリアンのほうがデカい!
最近はイスラム教徒マーケットがあちこちで注目されています。また、これを商機にとハラール認証ビジネスも盛んになっています。が、外食分野に関しては、イスラム教徒向けに特化したハラール云々よりもベジタリアン向けのほうが、需要は高いのです。今回は数字を使ってその点をご説明します!訪日観光客向けに食事を提供する事業者(ホテル、旅館)の方に、一度比較してみてください。
(ハラール認証そのものについては、賛否両論あるため、深く言及することは今回は避けます。あくまで、食の分野で、イスラム教徒向けのものと、ベジタリアン向けのもので比較します)。
今回の参考資料:JNTO 2015年の通年訪日旅行者数に関する報道発表
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/pdf/20160119_1.pdf
2015年のイスラム教徒観光客数を計算してみました
報道発表から、イスラム教徒が多い国からきた訪日者数をみてみましょう。
マレーシア 30万人
インドネシア 20万人
インド 10万人
イスラム教を国教とするマレーシアは人口の67%がイスラム教徒と言われています。
世界最大のイスラム教徒を擁する国・インドネシアは人口の9割がイスラム教徒。
インドは、人口の13%がイスラム教徒とされています。
単純に、訪日者数の数をイスラム教徒の割合で計算してみると
マレーシア 30万人X0.67=20万人
インドネシア 20万人X0.9=18万人
インド 10万人X0.13=1万3000人
合計約40万人
ただ、実際のムスリムの数はそれほど多くないでしょう。インドネシアの場合、日本に旅行できるだけの可処分所得の高い層は、イスラム教徒ではない中華系が多いです。マレーシアでも、日本を旅行先に選ぶのは中華系が多いようです。
上記の事情がありますが、多めに見積もってイスラム教徒の訪日観光客数は40万人としておきましょう。
では、2015年のベジタリアンの訪日者数は?
同様に、ベジタリアンが多い国を見てみましょう。
台湾 360万人
アメリカ 103万人
ドイツ 16万人
インド 10万人
意外に思われるかもしれませんが、台湾は実は人口の10%から15%がベジタリアンといわれています。ここでは低いほうの数字を取って計算しましょう。
アメリカは、芸能人なんかがヴィーガン・ライフスタイルを提案していますよね。アメリカの10から15%がベジタリアンだそうです。
ドイツは、環境問題からベジタリアンへの意識が高まっています。自治体を挙げてベジタリアン志向を推奨する動きがあり、ブレーメン市では毎週木曜日に「ベジタリアンデー」という日が設定され、学校給食やレストランでベジタリアンメニューがするほど。若い女性を中心に、ドイツの人口の8%から10%が、ベジタリアンだそうです。
ヒンドゥー教の国・インドでは、宗教的な理由と個人的な志向から40-50%がベジタリアンです。
これも、同様に計算してみましょう。
台湾 360万人X0.1 = 36万人
アメリカ 103万人X0.1 = 10万人
ドイツ 16万人 X0.08= 1万2800万人
インド 10万人 X 0.4 = 4万人
合計 50万人
少な目に見積もって、2015年に訪日したベジタリアン観光客数は50万人...といえそう。
ふりかえりましょう。2015年に日本を訪問した
イスラム教徒.....40万人
ベジタリアン.....50万人
で、ベジタリアンのほうが多いということがいえます。
この結果を踏まえて、どうすればいいか?イスラム教徒が今後増えていく中、イスラム教徒対応はやめてベジタリアンシフトをすべきか?