みきほ氏ブログ

川崎在住、トリリンガル。日本にくる外国人観光客事情と対応術、インドネシア・マレーシアまわりのことを中心に書いています

ゆとりがあるからやさしくできる

私の人生で外国人のおうちにホームステイなんて設定は中学校1年生の英語の教科書「サンシャイン」で初登場すでした。こんなん早々ねーよ、なんて思っていましたが、その2年後ホームステイを体験することになります。
行政の教育委員会がやっていた、英語力アッププログラムだとかそんなような名前のプログラムに参加。はじめてパスポートを取得、今から思えば「あれを短期留学というのは絶対ありえん」とか「あんなん留学でもなんでもない」というような内容でしたね。県から集められた志望者60人くらいから5人選ばれるわけですがなんとか生き残って、税金でロタ島といううつくしい島へ行きました。
むこうの中学校へ3日くらい通って、ホームステイ。そこのおうちは複雑なおうちでした。親が離婚とか兄弟が軍隊とか。お母さんと娘二人暮しとか。なかなか心休まりませんでした。なにしゃべっていいのかもわからないし、なにが相手にとって不快なのかもわからない。あれはかなりしんどかった5日間でした。謎。英語の教科書に載っていたやりとりはまずなかったですね。

その2年後、わたしはマレーシアに1年間,留学という名のほぼ遊学。その間の6軒のおうちに事実上無料でお世話になり、さまざまな家庭を見てきました。

家庭からしたら「実の娘のように接しましょう」とかいわれてもよその国の小娘なわけですから、そんなわけにはいきませんよ。ふつうできないよ。しかもリーベン、日本、自分の親の兄弟とかをぶっころした民族の人間なわけですよ。その程度のものを想定していたわたしは、そんなのはよくもわるくも浅はかな考えで本当にいろいろな家族がいることを身をもって知りました。

肌の色も違うのに「娘がいないから」という理由で本当の娘のごとく私をかわいがり、サリーつくってくれたり忙しいのに病院へ連れて行ってくれたり手間をかけてくれた家族もいれば、熱があるのに2日間ほったらかしにしてくれた家族、うまくコミュニケーションはできないけれどもいろいろやらせてくれる家族、私マジギレする家族。



家族、および夫婦っていうものは非情におもしろいです。本当にいろいろな夫婦がいます。家族の雰囲気というのは夫婦の間柄によってかなり変わります。子供の前で平気でちゅっちゅするファミリーもいればその逆で、私のホストファミリーにはいませんでしたが、子供の前でも平気でけんかする家もいます。そしてそういった家の子供を見ると、夫婦関係が子供に及ぼす影響というのがはっきりとわかります。
ホストされる側としては微妙な立ち位置なので、もしホストファミリーのお世話になるのでしたら、それぞれ一人ずつに「どうして結婚したか」あるいは結婚とか付き合うまでのなれそめを聞いた後、二人の前で二人に問うてみるのも非情におもしろいです。あと、たまにお母さんなんかは恋愛論について熱く語る人がいます。こんな男の選び方をしなさい、こんな男にはひっかかっちゃだめ、など。これもすごくおもしろい。



そして今回、バリ島へ短期留学するにあたり、ホストファミリーの家にお世話になるという形で滞在しました。(これは有料)二週間だし、そんなに熱い関係はつくれないだろーと思っていましたが、いやいやぜんぜんそんなことはないでしたね、マレーシアの素敵な家族並みにいい家庭でした。
笑顔で出迎えてくれる、というのは文字にするとたいしたことではないのですが、実際にこれやられると、「ああここきてよかった」と思います。会ったことない異国の小娘に、どこからみても心からの笑顔でお迎えできますか?なかなかできないことですよ。絶対うちのパパはできんわ。うちのおとんだったら照れくさくてはにかんで逃げていくに違いないわ。
私が入院して、ほぼ毎日顔を見に来てくれました。すばらしすぎます。普通ここまでできません。絶対無理です。1週間前まで会ったことなかったんですよ。責任感感じて見舞いに来る、とかではなく、本気で心配してきてくれました。もう私は彼らの優しさと腹痛で涙が止まりませんでしたね。



なんでここまでしてくれるんだろう?ここまでできるんだろう?
ここまでできる人(おうち)、してくれなかった人(おうち)を比較して考えると、できるおうちは比較的に時間もお金も裕福であったこと、そして夫婦関係が良好だったというのがあります。
要するにゆとりがある人なのです。心とお金と時間のゆとりがあったのです。

当たり前のことですが、自分にゆとりがあってはじめてほかの人に優しくできるのです。


ゆとりって本当に大切ですね。


これは私の勘違いかもしれませんが、バリの人には「ゆとりがない」という概念が乏しいように思えました。
屋台主やベモ運転手はその辺の木陰で昼寝(istilahat)をなさっている。おうちでお話していても、そのうち「istilahatしてくる」と部屋にいってしまう場合があります。*1バリ島で走っている人は海岸のランニング欧米ウーマンを除いたら見かけることはありませんでした。だから、あんなふうに異邦人な私ににっこり笑いかけたりいろいろしてくれたのかも。


お金と時間のゆとりがこころのゆとりにつながる、そんなかんじのおうちで私は育ってきました。ゆえに私も、お金と時間のゆとりがないと心にゆとりができない人間です。うーん、なんか損した気がする。。。

*1:istilahatは直訳は「休憩」なんですが、どっからどう見ても昼寝です。