旅の出会いって面白い。
四国へ行く途中の伊予西条での乗り換えで、私と同様バックパックを背負った、金髪碧眼の方に出会いました。目が合って微笑み合って、同じコンパートメントで松山まで2時間ご一緒する事になりました。
「Hi, here OK?」
_いいよ
日本語OKか!!
めちゃくちゃペラッペラでした。
「日本と関係を持って、どれくらいですか?」
_おもしろい聞き方をするね。そうか、僕もそうやって聞けばいいのか。
「だって、私自身もそうだから。あなたもなんとなくそうかなって思って」
_そうだよねー。ずっと住んでる訳じゃないけど、ずっと(積極的に)関わりを持ってるし、勉強してる。
6年だね。高校のとき交換留学をして、大学でも留学にきて。高校では大阪にいて、大学は東京のK大。いまはH市で働いている。アメリカ(母国)でも家庭教師の人とか雇って、日本語の勉強を続けていたよ。大学も日本文学をやってた。だから実質日本に居たのは2年くらいだけど、ええ、まあ話せるね。きみ、N大?N大は知ってるよ。大阪にいたときのホストブラザーがN大で、大学での留学生仲間もN大いった子たくさんいる。N大に留学した子の満足度はすごく高いね。いいってきく。いいね。N大。」
いい具合に自分の大学の評価を受けました。なんだか嬉しい。
こんな具合で、日本語ぺらぺらだからっていって「何年住んでるの?」ってきくと、住んでるだけじゃない場合もあるのでこういう聞き方するといいかも。
_アメリカにいるときの家庭教師の人は、もう50年日本に帰っていないって言うような東京出身のおばあさんで、僕は大阪からかえってきて、めちゃくちゃな日本語しゃべってて。若者の日本語ってあるじゃない。だから、はじめ、そんな二人がしゃべってるのはめちゃくちゃだったね。今思うとおもしろいけど、変わってた。
それはStrangeとかいうよりWeirdかもしれないね。日本語の’変わってる’ってたくさん解釈できるからむつかしいなあ。「変」からChangeという言葉も導きだせる。
「お仕事はどういうことしてるの?」
_市役所の国際交流科みたいなところで、CIR*1として働いてる。8月から日本で働いてる。(9月に入って仕事が落ち着いて、有給をとってきた。)でもCIRのその仕事は5年間しかできないから、その後大学院に行くつもり。日本語関係の大学院ね。
「おおー、自由度高いね」
_日本ってそういうことができないよね。高校か大学でてすぐ働くのがスタンダード。アメリカとか、一度働いてまた勉強するとか全然ありだから。
「日本ってキャリアに傷つくとかそういうのあるね。転職も最近は大きくでてるけど、昔はこんなに転職フェアーとかの広告みなかったとおもう。私はいま就職活動が始まろうとしていてそれでいろいろ調べているのだけれど、ストレートじゃないとネガティブにとる傾向はあるみたい。浪人とか大学での留年とかね。それで、大学でてすぐ働いて社会の一員として日本経済をになっていってほしいみたいな」
_そういうのって不自由だよね。ヨーロッパとかそうなんだけど、25歳以下は交通費が安い国とかあったりするの。なんでかっていうと、若いうちはやりたい事がたくさんあるけどお金がないから、若者がやりたいことをできるように交通費を安くしてあげてる。日本にはまずないね。そういうの。
絶対にないね。日本の融通がきかないところだとおもう。でも、もしかしたらこの国は昔からそんな余裕がないのかもしれない。余裕がない国だと私は思う。人も国も。そういう人が集ってそういう国になってるのか、そういう国だから人も余裕がないのか、果たしてソレはわからない。両方かもしれないよね。「余裕がある人間を目指そう」とか「余裕を持ちたいね」っていう言葉がわざわざ飛び交うくらい、日本人って余裕がない。
「なにしに四国へ?」
_山が好きで、山に登りにきた。けっこう世界の山に挑戦してみたいかんじ。四国の山はね、いいよ。のぼってみたくなる。四国は、いいよ。ええ。
「山かあ、昔はよくのぼったなあ。岐阜も山がたくさんあって、名古屋のへんの登山部の子たちは岐阜の山にのぼるっぽい。よかったら一度おいでよ。山、のぼるのはきついってわかってるけど一度富士山はのぼってみたいなあって思う。ご来光みると人生観変わるっていう話をよく聞くから」
_ご来光?へえ、そういうのがあるんだ。
けど、富士山はあまり興味がないなあ。人が多すぎるし、ルートがつくられててここに沿って行ってくださいってなってるし、汚いし、時間がかかる。さくっといけない。」
真の山好きにはそんなに富士山ってそそられないんだね。
_けど、いつかはのぼるよ。絶対に。あはは。
「バックパックだけど、じゃあそれも登山アイテムが入ってるんだ」
_そうだよー。中にテントがはいってて、おとといは野宿だった。昨日は民宿に泊まったけど。まあ野宿でいいなーって。
_へえ、野宿で眠れるんだ。電車の中では眠れないってさっき言ってたよね。
「うーん、周りに人がいるの、眠れない。」
文化の違いですね、このへんは。
「ガラガラひいてるよりバックパックはいいよね。わたしは電車でけっこう眠るけれど、バックパック抱いて眠れるからいい」
_あはは、それはあるある。だき心地がいいよね。それにたとえば電車に乗るときダッシュできる。これが一番うれしい。
ほんとですよ。バックパックいいよパックパック。
「松山についてどうするの?」
_そのままフェリーでH市に帰るよ。
「え、ちゃんともう予約とかとったの?どこから出るとか調べてあるの?」
_いえ、調べていません。でも、この電車はだいたい6時くらいに松山つくんじゃない?
「つかないよ!7時くらいだよ!」
_あ、そうなの
「そもそもこの辺っていくつか港があるから大変かもしれないよ。車掌さんに何時につくか聞いてみよう」
_ええ、それいいね。
わたしは今回行き当たりばったりの旅を目指していたけれども、本当に行き当たりばったりというのはこういうことなんだなって思いました。自分が使う予定の港さえしらべていないなんて!!!
彼はお金がある人だからそういうことができるのかもしれないけれど。CIRの給料、めちゃ高い...!!!住むところも市から出してもらっているらしいのでお金があまる。大学院のために貯金だからそうは使えないらしいけれども。
ちなみに、彼は同じ年でした。
車掌さんが来て、私が到着時刻を聞いたら彼が駄目元で「フェリーの時間とかわかりますか」ときくだけきいた。そしたら車掌さんが戸惑って、私の顔をめっちゃ見て、私が言い直す。すると、「調べますので」って。
_こういうサービス日本でしかないよね!
日本に来る外国人って、好きになる人、居心地が悪いと感じる人がいる。たぶん、居心地が悪いっていうのは日本のその「ストレートに大学卒業してすぐ働き始めなくちゃいけない世間の風」が不快で不快で仕方がないのだろう。そして日本大好きって言う人は、この日本の親切さが嬉しくて嬉しくて仕方がないんだろう。もしかしたら居心地悪い人はこういうサービスさえ居心地が悪いのかもしれない。こういうのも日本の文化なんだろうな。おもてなしの心。
それと、小栗さんの本にもあったけれども、日本人は外国人=日本語が通じない、日本人がそばに居るならその日本人と話をつけようっていう空気があるのはしっかり体感した。(ダーリンは外国人の、たしか1巻、トニーさんがレストランのワインに文句を付けるの巻みたいな)
フェリー使うのは彼だし彼私より日本語うまいから彼にちゃんと答えなよーJR四国の人ー(汗
松山は7時着、フェリーが9時くらいにあるけれど、せっかくだから松山観光するとのこと。安い二人でホテルを探そうということになり、JR松山駅を徘徊したらすぐそばに一泊2800円からのビジネスホテルがあった。やっすー!!トイレだけあってお風呂共用の。四国の安宿はほんと安いです。そういう安宿に限ってウェブとかには載ってないんだよね。残念。JR松山駅を出て左の方にいくとあるよ。(てけとうな情報)
その後ふたりで道後温泉のほうまでいって、夜ゴハンを探すたびに出た。
_本当においしい料理のお店って、古くって、汚くて、家族だけで経営してるようなとこにある。はえとかたくさん飛んでてすごく古いんだけど~、うまい。
高松のうどん屋もそういうお店が多かったな。うまかった。
二人で徘徊していたら、キャバクラが連なるところへ。
_そう、こういう小道って、おいしいお店があるか、こういう所になるか、どっちかなんだよね。さあ戻ろう。
間違えたら戻れば問題ない。
なんだかごちそうになりました。瀬戸内海料理うまー!
道後の最初のローソン降りてすぐのところのお店です。店名は忘れました。
旅の出会いって本当におもしろい。
あとは野球の話をしたり大学の話をしたり。村上春樹の文章はおもしろくないというのが一致した。
ビールとかの話だったり。書ききれない。
いい出会いでした。
*1:AETを派遣しているJETという会社の、日本語能力が高い数パーセントの人が選ばれる、公的機関の国際交流委員