ミニマリストもびっくりのモノがない生活!戦中の「意識高い系」の生態も分かる名古屋の戦争体験記「あとかたの街」
またまた戦争関連作品のご紹介。これは日本国内、それも名古屋の体験記です。現在BE LOVEに連載中の「あとかたの街」をご紹介します。
名古屋出身のマンガ家・おざわゆきさんが、お母様の戦争体験を綴った作品です。kindle版は1巻が無料です。Yahoo!ブックス等でも無料でダウンロードできるみたいです。以下、感想。
名古屋も田舎だったんやで
名古屋で4年間女子大生をやっていた身としては、70年前、名古屋のいたるところで「野菜を栽培していた」「鶏を飼っていた」「はらっぱがあった」という描写には単純におどろきました。
いまあんな街でも、あの当時はそんなにのどかだった。日本全体がそうだったんでしょうね。
登場人物もみんな名古屋弁だったり、つるま公園をはじめとするなじみある地名がでてきたり、名古屋圏出身者だったらなつかしくあたたかい気持ちで読める要素が多いです。
戦時中の「意識高い系」の人々も描いています
ここでも、「意識高い人」というのは登場します。
ああいう人たちの、「意識高い」精神メカニズムと、戦時中の戦意高揚ムードはけっこうマッチしているように見えます。時代の最先端の感覚を取り入れ推進するオレイケテル、的な。あと承認欲求も満たされてそう。
いまの時代ではソーシャルとかノマドとか社会起業家とかいうようなキーワードが好きな「意識高い学生」は、当時に産まれていたら、「玉砕したい!」と、神風特攻隊の試験を受けていたのではないでしょうか。(画像は意識高い女子学生)
また、完全母乳とか子宮とシャンプーがどうとか子どもは三歳まで母親といなきゃダメといっているような「意識高いママ」は、戦争当時は大日本婦人会の活動に参加していたのかもしれません。
そして「国債買え」だの「金属供出しろ」だの「女の子ばっかり産んで恥ずかしくないんですか」だの言ってたんだろうなあ。(画像は意識高い婦人会のおばさん)
いや、ベクトル違うかな。
ミニマリストもびっくりのモノがない生活
ここからはいったん、私の個人的な話になります。
親戚のおばあさまに、モノを一切捨てない人、とくに衣類は一切捨てさせない人がいました。
その一家は、アラフォーの男兄弟が中学ー高校時代に使っていた肌着がそっくりそのまま引き出しにしまってあったという始末。それくらい、ものを捨てない。
わたしは、その一家のお片づけを手伝ったことがあります。片付け中、おばあさまはずっと「昔はモノがなかった」とつぶやいており、やはり捨てることを快く思っていませんでした。多分、気力があったら、ごみ捨て場から捨てたごみを拾ってきたとおもう。
本作の話に戻ります。
この作品、戦時中の物資不足、とくに衣類・布系のものがいかに不足していたかをしっかり描いています。
画像はワンシーン。
戦時中、具体的にどうモノがなくなっていって、どのように難儀していたかわります。ミニマリストのみなさんにおすすめ(1巻は無料でDLできるよ)。
そして、物を捨てられないおばあさまは、こういう時代に青春を過ごしたのだと思うと、やっぱ物を捨てられなくないよなぁ...
よそ者をいじめる岐阜、でらぎふぎふしい
作中で、主人公の妹が岐阜に学童疎開します。
その境遇が、妹の環境がひどい。
周りにいる人全く余裕がない状態です。
本来オトナに保護されるべき年齢の子どもたちが、子供たち同士で、あるいは疎開先の人々に虐げられる。みんな余裕がないから、子供たちはしっかりケアしてもらえない。
中には、疎開先でいじめられたり体力がなくなって死んでしまった子どももたくさんいたんだろうな...。
物語の後半で、主人公一家は岐阜に移住します。その岐阜での生活も悲惨。
緑あふれる町、ぎふ。
よそ者に厳しいまち、ぎふ。
どっちも、ぎふぎふしい。
現在4巻まででています
月並みですが、今年戦後70周年。名古屋空襲からも70年が経ちました。
これを機に、とくに名古屋圏の方、「あとかたの街」を読んでみてください。
くどいですが1巻は無料でDLできます!
戦時中の意識高い系の生態も分かる戦中マンガ「あとかたの街」で、主人公たちが「戦争に巻き込まれているという実感がなかった」と語っている描写があったなあ。/『「戦争巻き込まれ、絶対ない」首相が断言 参院特別委…』 http://t.co/Rsf5EK7Hj4
— みきほ氏@手足口病 (@miqiho) 2015年7月30日
意識の高い学生たちは戦時中だったら軍国少年少女になってたんだろうなぁ
— みきほ氏@手足口病 (@miqiho) 2015年4月17日